青磁が生まれられた時代
龍泉窯青磁は、中国古代で最も長く継続して焼成された青磁窯系であり、魏晋南北朝時代に焼成が始まり、その芸術的特徴は時代とともに変遷しました。初期は胎土が厚く、釉も薄めで、淡い青色や青黄色が多く、刻み花や掻き落としなどの文様が主体の素朴な作風でした。
南宋(頂点と最盛期)宮廷や社会エリートの「玉のような質感」への究極の追求に応え、窯工たちは革新的な技術革新である「薄胎厚釉(はくたいこうゆう)」を実現しました。釉薬を数回掛け分け、窯の温度を精密に制御することで、粉青(不透明な感じで青玉のよう)、梅子青(透き通るような深い緑色で翡翠のよう)という前代未聞の經典的な釉色を焼き上げ、青磁の釉色と質感の美の頂点を極めました。この時期、龍泉窯は二つの審美体系を形成しました。
宋の時代にはなぜこんなに美しいものができたか?
宋代(北宋:960年-1127年、南宋:1127年-1279年)は、中国史上で文化と経済が非常に繁栄した時代です。政治、文学、芸術など様々な分野で多くの有名人と有名な物語が生まれました。
【有名人】
1. 政治家・軍人
- 趙匡胤(ちょう きょういん): 北宋の初代皇帝(太祖)。軍人出身で、陳橋の変で皇帝に推戴されました。杯酒の兵権を解くなど、軍人によるクーデターを防ぐ制度を築きました。
- 王安石(おう あんせき): 北宋の政治家・文学者。積極的な改革(新法)を推行し、国政の建て直しを図りました。その激しい論争は「新法・旧法の党争」を引き起こしました。
- 岳飛(がく ひ): 南宋の軍人。金の侵略から国を守った英雄的な将軍です。「忠誠」の象徴として後世に語り継がれましたが、和平派によって冤罪で殺害されました。
- 文天祥(ぶん てんしょう): 南宋末期の政治家・軍人。元軍に捕えられた後も屈服せず、「正気の歌」を詠んで節を通し、最期まで忠義を貫いたことで知られます。
2. 文学者・艺术家
- 蘇軾(そ しょく): 北宋を代表する大文人。号は東坡居士(とうば こじ)。詩人、詞人、書家、画家として多才で、豪放洒脱な作風で知られています。
- 司馬光(しば こう): 北宋の政治家・歴史家。巨大な歴史書『資治通鑑(しじつがん)』を編纂しました。王安石の政敵としても有名です。
- 朱熹(しゅ き): 南宋の儒学者。朱子学(理学)を体系化し、後世の東アジア思想に絶大な影響を与えました。
- 沈括(しん かつ): 北宋の科学家・政治家。著書『夢渓筆談(むけいひつだん)』は、当時の科学技術、天文、地理など多岐にわたる知識を記した百科全書的な書物です。
3. 皇帝
- 徽宗(きそう): 北宋の第8代皇帝。政治には疎かったが、卓越した藝術家でした。書の「痩金体(そうきんたい)」や絵画、特に花鳥画に優れ、宮廷藝術を大成させました。しかし、国政を怠り、北宋滅亡の原因を作りました。
【有名な物語・エピソード】
1. 杯酒の兵権(はいしゅのへいけん)
太祖・趙匡胤が、自分を皇帝に推した将軍たちを酒席に招き、彼らの軍権を巧みに返上させた故事。武力によるクーデターを防ぎ、文治主義を確立する転機となりました。
2. 王安石の新法
王安石が富国強兵を目指して行った大改革。青苗法・募役法など多くの新法を導入しましたが、守旧派の強硬な反対や実施上の問題もあり、大きな社会混乱を引き起こしました。
3. 岳飛と秦檜(しん かい)
英雄・岳飛は、敵国・金との和平を進める宰相・秦檜の策略によって捕えられ、無実の罪で殺されました。後世、秦檜は国賊の代名詞となり、岳飛は忠臣の鑑として祀られています。
4. 水滸伝(すいこでん)・三国志演義(さんごくしえんぎ)
宋代の語り物(話本)を原型とする二大英雄叙事詩です。『水滸伝』は宋江ら108人の義賊の活躍を、『三国志演義』は後漢末の群雄の争霸を描き、後世の文学や芸術に大きな影響を与えました。
5. 清明上河図(せいめいじょうがず)
張択端(ちょう たくたん)が描いたとされる長大な絵巻物。北宋の首都・開封の繁栄ぶりを生き生きと描き、当時の市井の人々の生活を伝える「風俗画の最高傑作」として名高いです。
6. 徽宗皇帝と藝術
皇帝自らが藝術家であり、庇護者となった時代。汝窯(じよう)など最高級の官窯青磁が生み出され、優雅で繊細な「宋文化」の美意識が頂点を極めました。
以上は氷山の一角ですが、龍泉窯の現れることは不思議ではないと理解されるでしょう。